【うつの運動療法】辛いうつ病に効く、脳に良いおすすめの運動

スポーツ健康科学部出身のぼくが「脳を鍛えるには運動しかない!」を読んだ。その中にうつに対する運動の効果が記されていた。そして、この記事を書いたのも、最近「うつで苦しんでいた人」と接する機会があったからだ。

 

どうにか、今この瞬間にもうつで苦しんでいる人に届いてほしいと思った。今この記事を読んでいるあなたの、なにか改善の糸口になったらと思う。運動にはその力があると信じているからぼくはこの記事を書いた。

 

 

うつの症状

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うつといっても、「むなしく感じられる」「なにもできない気がする」「希望が持てなくなる」といったような症状だけではない。

うつは学習、集中力、エネルギー、やる気などにも影響を及ぼす。身の回りのごく基本的なことでさえできなくなるケースもある。うつとは、「おとなしくして危険に近づかないようにするための生存本能」ともいえる。

 

うつの人の脳の特徴

うつの人は「扁桃体」と「海馬」が通常の人と異なっているという研究結果がある。

 

感情をつかさどる中心「扁桃体」

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扁桃体は、「感情」をつかさどる中心的な役割をはたしている。特に生命の維持を脅かすような経験に対する「感情」を記憶しておくことに大きく関わっている。

 

扁桃体は「脳の非常ボタン」でもある。危険を察知するとポチっとスイッチが入り、コルチゾール(ストレスホルモン)を分泌させる。これは身体を興奮させ、逃走できる状態にするためだ。

そして、ストレスから解放されれば、通常ストレスホルモンは正常値にもどっていく。

 

だが、「上司(慢性的なストレス)」への恐怖は一長一短で消えるものではない。そうすると、扁桃体のスイッチがONになりっぱなしになり、ストレスホルモンの過剰分泌を引き起こす。

 

記憶をつかさどる「海馬」

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上記のように扁桃体のスイッチがONの状態のまま、ストレスホルモンが分泌されっぱなしになっていると、脳の「海馬」という部位が委縮していく。

 

海馬は記憶をつかさどる部位だ。ストレスホルモンのコルチゾールが多いと、脳の情報が通る回路が途切れ、脳細胞の成長が止まってしまう。

 

うつの人が否定的な考えから抜け出せない理由のひとつがこれで、海馬が新しい情報伝達の回路をつくることができなくなると、細胞レベルで学習が遮断される。

それゆえ、否定的な記憶をなんどもたどり始めるという堂々巡りに陥ってしまうのだ。

実際に、「海馬が縮む度合とうつの期間の長さには関連がある」と報告されているほどだ。

 

まとめると、

  • 慢性的なストレス(上司)にさらされると、脳の非常ボタンである「扁桃体」のスイッチがONになりっぱなしで、コルチゾール(ストレスホルモン)が過剰分泌される。
  • コルチゾールが多いと、記憶をつかさどる「海馬」が死んでいってしまい、新しい情報回路をつくれなくなる。
  • 新しい回路ができないので、今までの否定的な記憶をなんどもたどることになる。
  • 結果として、うつが長引いたり、抜け出せなくなる。

 

なぜうつに運動が効果的なのか

イギリスでは、うつの治療の第一歩としてまずは運動を勧めている。運動は深刻なうつから、軽いうつまですべてに効くと信じられているからだ。そして、それにもきちんとした根拠がある。

 

運動すると、「BDNF(脳由来神経栄養因子)」というタンパク質がつくられ、このBDNFは日本語で”栄養”とついているだけあって、脳にとっての”肥料”となる。
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BDNFは脳にとっての”肥料”、すなわち、脳の新しい情報回路をつくることを促してくれるものだ。新しい回路ができると、否定的な考えをたどる堂々めぐりから脱出する糸口となる。

 

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また、「BDNFはコルチゾール(ストレスホルモン)の攻撃から、海馬などの気分をコントロールする部位を守ってくれている」ということが明らかになった。

 

コルチゾールが増えすぎると、BDNFは減るが、運動には、BDNFを増やし、コルチゾールを減らすはたらきがある。これが運動がうつに効果があるといった根拠だ。

たとえ健康な人でも、BDNFの値が低いと落ち込みやすく、神経質だったり攻撃的だったりする。

 

まとめると、

  • 運動するとBDNFという、”脳の肥料”がつくられる。
  • BDNFは、”脳の肥料”となるだけでなく、ストレスホルモンから海馬などを守ってくれる。
  • ストレスホルモンが多くなり、海馬が縮んでしまうがために、今までの否定的な記憶をなんどもたどることになる。
  • なので、運動によってBDNFが分泌され、海馬に新しい情報回路がつくられることで、負のスパイラルから抜け出せる糸口ができる。

 

辛いうつに効くおすすめの運動

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では、うつを改善するための運動はなにをすればいいのか。 正直どんな運動でもよく、ある程度までは運動をすればするほどいいのだが、それではあまりにも不親切なので、具体的な指標を上げてみようと思う。

 

まずは、週に80分の運動をしてみよう。1日10分くらいだ。ランニング・ジョギング・ウォーキング・散歩など。強度は高いほど良いがムリは禁物だ。慣れてきたら強度を高め、時間を伸ばしていこう。

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運動は脳を刺激し、辛いうつに効くクスリだ

「運動はつづけることが肝心だ」というのは、耳にタコができるほど聞いていると思う。

ただ、いくつかの研究から、「運動とは辛いものだ」と思い込んでいる人でさえ、運動後には爽快な気分になることがわかっている。だから、騙されたと思って1回だけトライしてみてほしい。

 

うつを脳が固まった状態と見なせば、固まってしまっている部分を刺激して目覚めさせればいい。負のスパイラルから自分を引っ張りだしてくれるのが運動だ。

 

うつとは本質的には、なにに対しても動こうとしない脳の状態のことだ。運動はこの否定的な信号を反転させ、脳をだまして冬眠から脳を目覚めさせてくれる。

 

さいごに一点だけ。ムリはせず。「運動しなきゃ!」「がんばらなきゃ!」と思う必要はない。「しょうがないから運動してやろうかぁ?」と上から目線で斜に構えるくらいがちょうどいいと思う。

 

参考図書

 

気分がまったく落ち込んでいなくてもうつの場合がある。そのような実体験を交えつつ、わかりやすく書かれた記事がこちら。


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