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運動でADHDを改善する方法を徹底解説~運動により前頭前野を鍛える~

どうも、だいち(@spountant)です。

「脳を鍛えるには運動しかない!」の 第六章を読んだので、ADHDの代表的な症状である”注意散漫”から、運動をつうじて抜け出す方法をまとめてみた。効果がでる仕組みさえ知っていれば、おそらく最善の解決法にたどり着けるはずだ。

 

 

ADHDの特徴

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ADHDには「注意欠陥・多動性障害」という日本名がつけられており、「突飛な行動をとったりすること」「注意散漫であること」を指す。

 

ADHDの人は総じて、じっくり仕事に取り組むのが苦手だという。社会性はあるが、ある一定の合図を見逃すため、行動に不器用なところがある。

 

一般的に注意不足とは、「重要でない刺激への関心を抑制できないこと」と考えてよい。言い換えれば、注意を払うべきでないものにどうしても注意を向けてしまうのだ。

 

ADHDは、脳の注意システムがうまく働かない結果として現れる。すなわち、思ったとおりには注意を向けられない、思ったとおりに集中力を向けられないだけなのだ。

 

ADHDの人は「前頭前野」がうまくはたらいていない

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ADHDの人は、「前頭前野」がうまくはたらいていない。実際、ある注意力テストを受けているとき、ADHDの人はふつうの人より脳の働きが10%ほど低く、特にその違いは「前頭前野」に認められたという研究結果もある。

なので、ADHDのメカニズムをひも解いていくために、まずは「前頭前野」の説明が必要となる。

 

「前頭前野」は脳の部位のひとつで、その働きをまとめると以下のようになる。

  • 周囲の状況を観察したり、先を推測したり、自分がとるべき行動を決定する
  • 1つのことに意識を向けて取り組む集中力
  • 2~3つのことに同時に注意を払う
  • 自分の感情をコントロールし、状況に応じた対応や我慢ができる

参考:http://xn--adhd-830gk6o.top/

 

「前頭前野」は、”脳の司令塔”とも呼ばれ、ワーキングメモリ(情報を一時的に保つ)の拠点でもあり、注意力を持続させ、同時に複数の問題をまとめて保持することができる。

 

ワーキングメモリ(前頭前野)が働いていない状態といえば、たとえば、ご飯を炊こうとして食器が散らかっているのに気づくと、食器を片づけにかかり、ご飯を炊くというミッションをさっぱり忘れてしまう。このような感じで複数の問題を保持することができなくなる。

 

ワーキングメモリ(前頭前野)が損なわれると、人は作業、順序付け、計画、練習、そして結果の予測、こうした多くの考えを心に留めておけない。結果として、長期目標に向かって作業や仕事を進めることができなくなる。

 

実際、ADHDの人は、大学入試のための勉強というような、長い目で見て価値がある地味な作業よりも、すぐに満足が得られる作業を好む傾向がある。

これも「前頭前野」、脳の司令塔がうまくはたらかず、長期的な目標に向かって作業ができなくなっている状態だ。

 

少し前に述べた「重要でない刺激への関心を抑制できないこと」も前頭前野が関わっている。

前頭前野がうまくはたらかず、複数の問題を保持することができなくなると、目の前の刺激に注意をとられるたびに、一時記憶が塗り替えられてしまい、元の一時記憶を忘れてしまう。結果として、注意散漫だとされてしまうのだ。

 

なぜADHDに運動が効果的なのか

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運動がADHDに効果的なのは、2つの観点から説明できる。

 

1つ目の理由は、運動をすることにより、上記で説明した「前頭前野」が活性化するからだ。

 

「前頭前野」が活性化することで、1つのことに意識を向けて取り組む集中力が高まる。また、ワーキングメモリもうまくはたらくようになり、複数の問題を保持できるようになる。

 

2つ目の理由は、運動によって「ノルアドレナリン」と「ドーパミン」が増えるからだ。脳全体をかけめぐる複雑な注意システムを調節しているのは、ノルアドレナリンとドーパミンだ。ADHDのくすりはこの2つの化学物質をターゲットにしている。

 

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ノルアドレナリンは「前頭前野」内を通る信号の質を高め、ドーパミンは不要な信号を受け取らないようにして、雑音を抑える役割がある。このことが「前頭前野」が正常にはたらくのを助けている。

 

運動によってADHDの症状が緩和される大きな1つの要因は、ノルアドレナリンとドーパミンが増えるためだといえる。それも、すぐに増えるのだ。

さらに、定期的に運動すると、脳の特定の部位に新しい受容体が生まれ、ノルアドレナリンとドーパミンのベースラインを上げることができる。要はいっぱい出て、いっぱい受け取れるようになるのだ。運動による効果が日に日に向上していくということだ。

 

また、ドーパミンは脳の報酬をつかさどる部分(報酬中枢)に信号を運ぶはたらきがあり、報酬中枢が活性化されると「前頭前野」も連動してうまくはたらくようになる。この効果も大きい。

 

ADHDに効くおすすめの運動

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ADHDに効くおすすめの運動は、単純な運動よりも、脳と体の両方に負荷をかける運動だ。その方が脳へより良い影響を与える。たとえば、テニス、太極拳、エアロビクスなどだ。

スポーツに特有の、バランス・タイミング・結果の予測・切り替え・微調整などは、「前頭前野」を活性化させる効果がある。

 

実際に、8歳から11歳までのADHDの少年のうち、週2回武術の稽古に通っている子どもは、普通の有酸素運動をしている子どもに比べて、行動と成績がいくつもの項目で大きく改善した(どちらのグループも、まったく運動しないグループに比べると劇的な改善を見せた)。

 

武術の稽古に参加している少年は、そうでない子どもよりも、きちんと宿題をし、成績も上がり、規則もあまり破らなくなり、席を立って駆け回ることも減った。つまり、落ち着いて勉強に取り込めるようになったのだ。

 

運動と注意力には、強い結びつきがある。この2つは脳内で同じ回路を共有していて、それゆえ武術のような活動はADHDの子どもに効果があるのだろう。

新しい動きを覚えるために、彼らは集中しなければならず、その際、運動システムと注意システムの両方が動員され、鍛えられるのだ。 

 

なので、具体的にどんな運動がのぞましいのかと言われたら、以下のようになる。

  • 運動強度:最大心拍数の75%
  • 運動時間:20分~30分
  • 運動頻度:週に5回
  • 運動種目:複雑で集中力が求められるスポーツ

 

上記のものはなかなかハードルが高いので、最低限をいうのであれば、有酸素運動毎日30分というのが答えだ。

 

ただ1つ言えるのが、強度もそこまで気にしなくていい。運動時間も短くてもいい。10分でも確実に効果はある。週に5回できなくても自分を責める必要はない。ゼロから1になったのであれば、それはすごい成果だ。

やればやった分だけ効果があるのが運動だ。まずはムリなくつづけていこう。

 

運動で前頭前野を鍛え、ADHDを改善する方法まとめ

  • ADHDの人は「前頭前野」がうまくはたらいていない。
  • 「前頭前野」がうまくはたらいていないことにより、複数の問題を保持できなかったり、重要でない刺激への反応を抑制できなかったりする。
  • 運動をすることで「前頭前野」が活性化する。
  • 運動と注意力は、脳内で同じ回路を共有しているため、頭を使う運動ほど注意力を改善する効果がある。

 

こんなエピソードがある。

 

「朝一番のランニングが日課になると、気分、不安、集中力など、自らの内面をコントロールできていると思えるようになった。生まれて初めて、人生のかじを自分で取っているように思えた」

 

上記の彼は、ランニングを”くすり”として用いたのだ。

朝一番のトレーニングをするようにすると、枠組みを整えられ、一日を正しい調子で始められる。たいていはそれでうまくいく。

効果がでる仕組みさえ知っていれば、おそらく最善の解決法を自分で見つけられるはずだ。

 

参考図書